Greetings
ご挨拶
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桐山 孝司 Takashi Kiriyama
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東京藝術大学大学院映像研究科長
大学院映像研究科メディア映像専攻教授
2023年度のゲームコースについて
東京藝術大学では本年度から、大学の世界展開力強化事業~米国等との大学間交流形成支援~により「STEAM教育を活用した情報メディア革新時代の日米映像クリエイター育成」を行うことになりました。これは2018年度から5年間継続した⼤学の世界展開⼒強化事業「⽇⽶ゲームクリエイション共同プログラム」の実績をもとに、新たに2023年度から5年間の計画が文部科学省に採択されたものです。事業の推進役となる大学院映像研究科ゲームコースでは、さっそく南カリフォルニア大学映画芸術学部と連携して授業科目の整備や人材交流を実施しています。今回のゲームコース展も、同学部から多数の教員、学生の参加を得て開催できることを嬉しく思います。
現在、生成AIの進化がゲーム制作にも影響を及ぼしています。実現したいことを示せば、AIがコードを補完してプログラミングを支援するようになりました。また画像生成AIを、見え方を含めたゲームの試作に役立てることができるようになりました。すでに今回のゲームコース展の作品でも、プログラミング支援や音声認識を使ったユーザインタフェースなど、さまざまな形でAIが関わっています。AIで足りない技能を補えるようになったことは、制作プロセスを加速する上ではありがたいことです。一方でAIの存在を前提として何を作っていくのかは、制作者にとって大きな課題になります。ゲームコースでもデジタルコンテンツ一般にも関わるものとして、今後のAIを前提とした創作についての考え方や実践方法を開拓していきたいと思います。
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岡本 美津子 Mitsuko Okamoto
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東京藝術大学副学長
大学院映像研究科アニメーション専攻教授
プレイテストなるもの
本学ゲームコースの学生は、年に数回「プレイテスト」と称する会に参加しなくてはならない。自分の制作中のゲームを、他の人に実際にプレイしてもらい、その様子を観察したり、プレイした体験者たちから様々なコメントをもらったりする場である。
プレイテストには、ゲームコース教員のほか、他専攻の学生やOB/OG、外部講師の先生たちなど、初めてそのゲームをプレイする人々も招かれる。
会はとてもカジュアルな雰囲気で進行する。体験者たちは、ゲーム作者がいる机の間を巡って、空いている学生のゲームから個々に体験していく。あちこちで体験者の笑いやゲームの音が響き、まるで教室がゲームセンターのようである。
芸術分野では、作品の途中段階や完成版に対して、「講評会」という形で、教員をはじめとする講評者たちがコメントやアドバイスを行うのが一般的である。専門的知見や体系的な知識を持った講評者たちが、その作品を評価し、その表現の歴史の中に位置付けるための「言説」を与えていくというものであるが、ゲーム分野におけるプレイテストはこの講評会とは全く異なる考え方を持つ。
第1に、個々がどんなコメントをもらっているかについて、我々教員や学生同士はそれを把握し得ない点。第2に、体験者は教員であろうが、他専攻の学生であろうが、一般の方であろうがフラットな立場であり、そこに上下関係は存在しない点。第3に、講評会では往々にして講評者の発言はフリーハンドであるが、プレイテストにおいて、テストしたい項目はあらかじめ作者本人が決めている点、などである。
我々が2018年来、コラボレーションを行っている、全米大学院ゲーム教育No.1の南カリフォルニア大学インタラクティブ・メディア&ゲームズ 学科も、このプレイテストを実によく実施することで知られている。
ゲームは、体験者がプレイすることで完結する表現であり、言い換えればプレイヤーが体験を通じて作者のテーマやメッセージを受容する表現とも言える。従って、その制作プロセスの中で、体験をテストする「プレイテスト」は非常に重要な意味を持つのである。我々はこのプレイテストを教育カリキュラムに落とし込み、芸術教育に新たな知見を付加できればと思っている。
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GAMES
GAMES
Thesis Projects
修了作品
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RlungRta -Wind Horse-
ゲーム実況配信山根 風馬(修士2年)
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Life Finds a Way
ゲーム実況配信王 昊宇(修士2年)
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ゲロゲロ!
ゲーム実況配信スィウランポン チャンヤ(修士2年)
M1 Projects
1年次作品
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walking teddy
潘 宇(修士1年)
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キヨの部屋
みさはる(修士1年)
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らくがきフレンズ
オウ シギ(修士1年)
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今日はわたしの誕生日
王 憶雪(修士1年)
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Where are we going?
古池 安由実(修士1年)
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そしてナイフを手にした(プロトタイプ)
クワ ウケン(修士1年)
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Whale Fall ※更新版
山根 風馬(修士1年 ※制作当時)
Affiliated Projects
協力展示
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Time Flies
ミヒャエル フライ
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Five Years Old Memories
小光
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詩が書けなかった日
Zennyan (田井中 善意) +mikyokyuji (薄羽 涼彌)
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指・ひも・カギ
薄羽 涼彌
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ルビを振るゲーム
薄羽 涼彌
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ゲーム制作演習 有志成果展示
薄羽 涼彌(講師)
受講有志学生
Event Outline
開催概要
- 会期
- 2024年3月16日(土)/17日(日)
- 開催時間
- 10:00~18:00 (最終日は17:00まで)
- 会場
- 東京藝術大学 上野キャンパス美術学部 総合工房棟 多目的ラウンジ・オープンアトリエ
〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
Google マップでみる
- 交通案内
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JR 上野駅(公園口)・鴬谷駅 下車徒歩10分 地下鉄 銀座線・日比谷線上野駅 下車徒歩15分
千代田線・根津駅 下車 徒歩約10分京成電鉄 京成上野駅 下車徒歩15分 都営バス 上26系統(亀戸←→上野公園)谷中バス停 下車徒歩約3分
- 入場料
- 無料(事前予約不要)
- 主催
- 東京藝術大学大学院映像研究科
- ※文部科学省「大学の世界展開力強化事業~米国等との大学間交流形成支援~」事業として実施
- 協力
- 南カリフォルニア大学映画芸術学部
株式会社スクウェア・エニックス
横浜市にぎわいスポーツ文化局
東京藝大アートDXプロジェクト
東京藝術大学 共創の場形成支援プログラム拠点
- 同時開催
- 東京藝術大学 芸術未来研究上 アートDXプロジェクト/I LOVE YOU プロジェクト 2023 成果発表展 (附属図書館ラーニングコモンズ(美術校舎側) アーツ&サイエンスラボ 1F ギャラリー及び4Fホール(音楽校舎側))
https://artdx.geidai.ac.jp/exhibition/01/
- クレジット
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- 東京藝術大学大学院映像研究科
- 桐山孝司 岡本美津子 牧奈歩美 江口麻子
薄羽涼彌 吉野範子 久保田勇 西川順子
- 東京藝術大学企画総務課国際戦略係
- 萩原優里
- 株式会社スクウェア・エニックス
- 時田貴司
- 南カリフォルニア大学映画芸術学部 University of Southern California School of Cinematic Arts
- ダニー・ビルソン Danny Bilson アンドレアス・クラッキー Andreas Kratky ピーター・ブリンソン Peter Brinson
- 会場設営
- 松本祐一 (Yuichi Matsumoto)
- メインビジュアル
- スィウランポン チャンヤ(東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻ゲームコース)
GEIDAI×USC
GEIDAI×USC
東京藝術大学大学院映像研究科 南カリフォルニア大学映画芸術学部
2023年度に文部科学省による「大学の世界展開力強化事業〜米国等との大学間交流形成支援〜」に採択され、STEAM教育を活用したメディア革新時代の国際的クリエイター育成を目指しています。本事業では、全米トップのゲーム教育機関を含むUSC映画芸術学部と本校双方のメディア教育水準を高めるために、学生・教員による様々な交流プログラムを実施します。
2018年度に採択された大学の世界展開力強化事業に引き続き、今年度で東京藝大×USC共同事業は6年目となります。本年度採択の事業ではUSC映画芸術学部に加え工学部との連携も開始し、テクノロジーによるイノベーションも目指していきます。
新事業のキックオフとして、2023年12月に藝大生が渡米、USCを訪問し、双方の作品を発表・講評しました。また、USCアンドレアス・クラッキー教授およびピーター・ブリンソン教授の指導による東京藝大×USCゲームジャムを行いました。
Messages from USC
USC からのメッセージ
GEIDAI × Industry
産学協同
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産業界からの教育への参加について
2019年度までは、学生一人につき一名のメンターをスクウェア・エニックス・グループより選出していただいていましたが、2020年度からは手法を変更し、一名のメンターに全学生のプロジェクトを総括的に見ていただく形をとりました。同年度からメンターを務めていただいている同社プロデューサーの時田貴司氏を、東京藝術大学特別教授としてお招きし、より密度の高い、多角的なアドバイスをいただいています。
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時田貴司 Takashi Tokita
- 株式会社スクウェア・エニックス プロデューサー 東京藝術大学特別教授
1984年から演劇活動のアルバイトとしてゲーム制作に参加。
デザイナー、プランナー、ディレクターを経て現在はプロデューサーとして従事。
代表作はFINAL FANTASY Ⅳ、LIVE A LIVE、クロノ・トリガー、半熟英雄シリーズ、ナナシ ノ ゲエムなど。
藝大ゲームス試食会へのご招待状
ゲームといっても新旧多種多様なゲームが混在する現代。
自分のゲームを制作するとなると、何をどうゲームにするか、テーマの決定から、表現方法、技術の選択と無数の分岐点が存在します。
ゲームは最新のエンターテイメントという認識が定着していますが、私は『ゲーム=料理』であると定義しています。
カレーやラーメンの無尽蔵なまでの自由度と娯楽性、本能に直結するその魅力は、食べるエンタメといえば共感いただけることでしょう。
表現したいテーマを、どんな食材どんな調理法で、どう提供しどんな人にどう味わっていただくか。
このゲーム展はシェフやパティシェとなった学生たちの作品をみなさんにプレイしていただける絶好の試食会です。
是非たくさんのゲームを味わっていただき、忌憚のない味のフィードバックをよろしくお願いいたします。 -